その74 「豊かな人生の鍵」

2015.07.26

マタイの福音書 7章12節

 日本人がよく子供に言い聞かせる言葉にこんなのがあるそうです。きっと皆さんも一度は言われたか、あるいは言ったかしていると思います。「人に迷惑をかけないようにしなさいよ。」「他人様にご迷惑をかけるな。」また古代の中東でもこれに似たような有名な教えがあったそうです。それは「自分が人にされていやなことは、人にしないようにしなさい。」

 しかしこのイエス・キリストの言葉はそれよりももっと積極的です。ただ人に悪いことをしないようにするのではなくて、こっちから良いことを働きかけなさいというのです。自分がして欲しいと思うことを、人にしてあげなさい。つまり良いこともしていないけど、悪いこともしてないからいいじゃないか、ではなくて、してあげなさいというのです。

 イエス・キリストはこの短い教えを通して、私たち人間に「本当の豊かさとは何か」「どうしたら豊かな人生を過ごすことができるのか」を教えておられるのです。

1、自分に価値があることを知っていること。

この言葉は「それで」という言葉から始まっていますので、その直前を読んでみましょう。

7:11 してみると、あなたがたは、悪い者ではあっても、自分の子どもには良い物を与えることを知っているのです。とすれば、なおのこと、天におられるあなたがたの父が、どうして、求める者たちに良いものを下さらないことがありましょう。

 ここでイエス様は何を言おうとしておられるのでしょうか。私たちは、神様の子として、愛され、守られ、求めるものは何でも与えられるという特権、そのような価値を持っているのですよということです。だからあなたがたは、人に対して良い行動を起こすことができるのだというのです。

 「自分には価値がある」と分かると、だからこそ、他の人に優しくなれるし、何かをしてあげたいという思いが起こってきます。どうかこの神様の目で豊かな人生を実感していきましょう。

2、自分には何かができると知ること。

 イエス様はここで、すべての人に対して「あなたにも何かできることがあるのですよ。」と教えておられます。イエス様は「何事でも」と言われました。それは大きなことでなくても構わない、どんな小さなことでもいいのだ。あなたが今隣にいる人にできることがあるんですよ、と言われているのです。朝誰かにおはようございます。と言われたら気持ちがいいなあ、と思っているのなら、自分がそれをすることができるのです。誰かにありがとう、と言われたらうれしいな、と思っているのなら、人に言われる前に、自分が率先して感謝することができます。

 このことは、私たちが自分の目を自分自身から他の人に移すことを意味します。人間は自分、自分と、自分のことばっかり気になっている状態では、いつまでたっても豊かな気分など持てるわけがないのです。 周りの人たちに対して「自分にできることがある。」「自分にしかできないことがある。」そのような思いで、今日も明日も生きていこうではありませんか。

3、自分には分かち合うものがあることを知る。

 イエス様が「ほかの人にもそのようにしなさい」と言われた意味は、あなたは人に分けてあげられるものを持っているのだ。それを分かち合ってあげなさい。ということであります。何か自分の持っているものを他の人に分けてあげる時に、人は本当の豊かな人生を得ることができるのだと教えているのです。

 自分が受けることばかり、得するか、損するか、そんなことばかりを考えることをやめて、自分が与えることを考え、実行するようになるのならば、必ずこの世界は変えられていくのです。イエス様はこの山上の説教で、「あなたがたは世界の光なんだ」と、あなたがたの光を人々の前で輝かせなさいと言われました。どんなに小さな光であっても、闇の中では大きな存在となります。

それで、何事でも、自分にしてもらいたいことは、ほかの人にもそのようにしなさい。これが律法であり預言者です。マタイ7:12

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