その55 「本当の支配者」

2014.12.21

ルカの福音書2:1-7

 キリストの誕生には当時のローマ帝国の皇帝の命令が深く関わっていました。その命令に動かされる世界中の人々のなかに、ひっそりと生まれた赤ちゃんがいたのです。

1、人の思いにまさる神の計画。

 初代ローマ皇帝のアウグストは全世界に住民登録を命じました。皆自分の故郷に戻らなくてはならず、多くの人が、喜んでではなく、嫌でも従わなければならない状況だったと思います。ヨセフとマリヤはそのような地上の支配者の命令に翻弄されて、何百キロもの道のりを遠く、ヨセフの先祖ダビデの町であるベツレヘムへと旅をしなければならなかったのです。救い主の親にしては、随分弱弱しい、情けない姿に映ります。しかしその「仕方なし」の旅が、何百年も前から予告されていた預言を実現させたのでした。

箴言 19:21 人の心には多くの計画がある。しかし【主】のはかりごとだけが成る。

 神を信じ、神に従いたいと願うのであれば、人生に起こるすべてのことが神の計画のために用いられます。何故ならそれが私たちの人生の目的だからです。時には「何故こんなことが?」「どうして私がこんなことを…?」ということもあるかもしれません。でも全てのことを益に変えてくださる神を信じ続けましょう。

2、神は居場所を捜しておられる。

 この物語の象徴的な言葉は7節の「宿屋には彼らのいる場所がなかったからである」という言葉です。天地を創られ、すべてを支配しておられる神のおられる場所がなかったのです。すべてを捨てて、へりくだって人として生まれてくださった主の謙遜を表すと同時に、人間たちが目先のことに振り回されて、本来迎えるべき神を心から締め出してしまっている様子を象徴するようです。

 確かに私たちは、日頃様々な目先のことに追われながら生活しています。恐れたり、不安になったり、やらなければならない日常生活の細々としたものに心をとらわれます。しかし神は私たちの心の扉を開き、私たちが迎えるのを待っておられるのです。

黙示録3:20 見よ。わたしは、戸の外に立ってたたく。だれでも、わたしの声を聞いて戸をあけるなら、わたしは、彼のところに入って、彼とともに食事をし、彼もわたしとともに食事をする。

 私たちの人生の本当の支配者となってくださる主をお迎えしましょう。主が私たちの心の王座に座られ、自分の人生を支配することを願うときに、主はすべてのことに意味を与えてくださいます。

3、本当の支配者は私のために命を投げ出す。

 生まれたばかりのキリストが「布にくるまれ、飼葉おけに寝かされた」という記述も象徴的なものです。布にくるまれとは死体を意味し、飼い葉おけは当時の死体を置く場所と同じです。そして家畜小屋は洞窟にあり、まさに墓を連想させる場所だったのです。このようにキリストは生まれた直後から、死を暗示され、十字架への道を歩み始められたことが分かります。聖書はこのような赤子こそが、私たちの生と死を支配する者だと教えています。

 自分の力で歩くには人生はあまりにも危険で、痛みに満ちています。しかし主に人生の主導権を明け渡すならば、主が最も良い道を歩ませてくださいます。この方を信じていきましょう。

神を愛する人々、すなわち、神のご計画に従って召された人々のためには、神がすべてのことを働かせて益としてくださることを、私たちは知っています。ローマ8:28

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